ケダモノのすすめ
内なる野性にしたがい日々を生きる男の独り言

運命

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「運命」とは「生まれ落ちた時から既に定まっている人生のプログラム」といったことを意味する言葉だと思う。

では何が「定まっている」のかというとそれは「すべては偶然である」ということが定まっていて、つまるところそれが運命なのだと以前悟った。


それまでは普段の生活を「毎日同じ事の繰り返し」と感じていた。
でも空の雲はひとつも同じものはないし常のその形を変えていく。
胸の中で死ぬまで脈打ち続ける心臓も一度として同じ打ち方をしない。
一度も同じ空気を吸うこともなければ同じ光に当たることもない。
人生は実は未知との出会いの連続なのだと学び、実感し、受け入れた。

「予想通り」といっても厳密には、非常におおざっぱなことを空想するだけなんだよね、実際。

「未知との出会い」を楽しめるようになるといろいろ楽になる。
苦労の面白みもなんとなく分かるようになる。

この「なんとなく」が結構鍵なのだ。

「お先真っ暗」はそうとう楽しい。
実際、生きてりゃ何とかなる。
だから自殺はいかんよ!!!

怖い人

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二十歳ぐらいの時、深夜に友人と三人で横浜の焼き肉屋さんに行った。焼き肉屋さんと行ってもU字型のカウンターがあるだけのシンプルなつくりで、その当時の横浜にはたくさんあった安くてうまい店のひとつだった。

そのときのお客は僕たちと和装で女装の男の人(意味わかりますか?)だけだった。

彼(彼女?)は焼き肉を食べにきたというよりお酒を飲みにきたという感じだった。艶やかな姿と毅然とした物腰。
その光景は僕の中に非現実的なほどの生々しさをもって刻みこまれた。

しばらくすると彼女(彼?)は「はばかり」に立った。
その店の「はばかり」は僕たちが座っている側の奥にあったのだけど、通路が狭いので、彼(彼女?)が通る時、僕たちは席をずらして道をつくった。

彼女が帰ってきた時、また僕たちは席をずらして通り道をつくった。

その時に彼女と目が合った。
彼女は僕の目を見つめていた。
それはとてもとても不思議な目だった。

その「目」は僕を見ながら全然僕を見ていなかった。
その「目」は僕を通して僕の背後にあるものを見つめていた。
その「目」は僕に別の宇宙の存在を実感させた。
その「目」は僕に大事な預言を伝えようとしているようだった。
その「目」は僕が忘れてしまった大切なものたちとコミュニケーションしていた。
その「目」は僕を全く知らない人にした。

やがて彼女はこう言った。
「怖い人」。。。。。

僕は突然現実に引き戻された。その予期せぬ言葉は僕を激しく混乱させた。

「怖い人?俺が?」

考えれば考えるほど訳が分からない。

僕は確かに「優男(やさおとこ)」でないけど、入れ墨もなければ目つきだって悪くない、それどころか「竜路さんの目って熊のぬいぐるみみたい」と言われたことだってある!いや、あったような気がする。。。。そういう記憶がうっすらとある。。。。

何故? どこが? どういう風に?

僕はいろんな人に意見を求めてみた。
それぞれの分析はさまざまだ。

『それは竜ちゃんに一目惚れしたってことだよ、きっと。怖いぐらいに惹かれるって言いたかったんじゃない』
(この説が一番多い、この説の支持者は決まってニヤニヤしながら自説を展開する。)

『明かりの関係で怖く見えたんじゃない?』
(う〜ん?)

『榎田君の顔って、結構怖いよ』
(むむむっ、気にしていることを……)

『酔っぱらってたんじゃない?』
(人の話をちゃんと聴かないタイプ。すぐ違う話をしだす。) 

『榎田君って一人っ子だったんでしょ?その人さぁ、もしこいつとつきあったらって一瞬でシミュレーションしたんじゃない。そういう人って勘がいいっていうからさ〜、榎田君のわがままなこと見抜いたんだよ。だいたいひとりっこていうのはさぁ〜…….』
(この人はここから延々と「一人っ子」とはいかに我が儘で自分勝手な生き物かということを語ってくれた。この経験をしてから、あまり人に話さないようになった。だって長いんだもん、話が。。。)

あんな目で見つめられたのは後にも先にもあの時だけだ。

僕ではない僕というのか、僕の意識の範囲を越えて存在する「僕」と彼女は確かに繋がっていた。

本当に不思議な『目』だった。

あれからずいぶん経つけど、あの時味わった感覚は忘れることができない。

彼女が僕の瞳の奥に見たものを僕も覗いてみたい。
かなり怖いけど。。。

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気がついたらこの星の上にいました。
音楽作ったり演奏したり、映画を作ったり、森をつくったりといろいろやっております。

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