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ケダモノのすすめ
内なる野性にしたがい日々を生きる男の独り言

型なき繁栄など無い

「日本の危機」といった時に抜け落ちがちなのが「身体」です。

敗戦後急速に進んだ生活の西洋化がもたらした
身体運用の基準となる生活様式の激変。
「和」の身体というべき感覚体系が緩やかに崩壊した結果、
我々は生きる基準を見失ったのだと思います。

肚が据わる
腰が極まる
腑に落ちる
背筋が伸びる。

知力も気力もその源は身体運用原理です。
「知る」と「まとめる」という人間の力も身体感覚に依拠しているのです。

私は交通事故の後遺症で半身不随になりかけた時、
日本の伝統的身体運用法を学び稽古する事で、
その後遺症を克服しました。

その時に日本文化に内在するその高度な身体運用法に触れ、
それが生み出す多種多様多層で豊饒な「生命を見つめる眼差し」の持つ
世界史的価値を知りました。

身体の持つ感覚を繊細に運用して来た結果、
人類史に誇れる日本文明を築いて来たのです。

その時に学んだのが「型」の存在です。

「型」とは
感覚を発生し、
感覚を複製し、
異質なモノを同調させて意味ある姿にしていく働きのこと。


日本の停滞は自由主義のもたらした云々という議論も理解出来ますが、
それだけで説明仕切れるとは思えませんし解決も出来無いと思います。

私は「日本の身体」を再考する事が日本の進退を決めると考えています。

昔、北京の映画人達に、『文革の本質というのは「型」の廃棄だろう。毛沢東が耄碌して伝統文化の持つ「型」の持つ強ウイルス性が近代化を阻むと考えた結果だろう?』と言ったことがあるのです。

技とは型が効力を発揮している状況です。

「型」なき繁栄程不安定かつ危険な者は無いし、
それは見せかけだし、続くはずも無いのですね。

型というものを私達は真剣に見直さなければならない時期に来ているのです。


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川の中の岩

夕焼けが最近きれいですね。

きれいな夕焼けを見ると思い出すことがある。

まだ長女が小さかった頃、
長女と手をつないで横浜のトレーラー道路を
馬車道から開港記念会館方面に向かって歩いていた。

その時長女が突然言った。
「お父さん見て!!きれいな夕焼け!!」
見上げると本当に滅多に見られないような夕焼け空だった。

流れる雲に当たる夕日が本当に美しくて、
二人で立ち止まってしばらく空を眺めたいた。

ふと気付くと僕達の両側を通行人が黙々と通り過ぎていく。
彼らは一度も空を見上げない。
僕たち以外誰一人空を見上げるものがない。
僕たち二人は川の中の岩のように通行人の流れの中に取り残されていた。


「お父さん、どうしてみんな夕焼け見ないのかな?」と長女が尋ねる。

僕は答える事が出来なかった。
そこには「忙しいから」というだけでは済まない「何か」があった。


人生は感覚体験なので豊かな感覚体験が人生を豊かにする。
我々には終わりがあるのだ。
美しいものを愛する人達と共有する喜びに勝るものを僕は知らない。

僕は「川の中の岩」でこれからもいよう。

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プロフィール

榎田竜路

Author:榎田竜路
Musician、Glocal Media Producer、真荷舟、Earth Voice Project代表社員、NPO横浜アートプロジェクト理事長、NPO映像情報士協会理事長、北京電影学院客員教授、Rainmaker Project代表、身体感覚技法追求。「野生と感性と知性を一つにして地球の未来に貢献します」

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