ケダモノのすすめ
内なる野性にしたがい日々を生きる男の独り言

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不思議な話

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10年ほど前、天河、高野山といったコースをキャンプして回ったことがある。しかも2年連続で。その時、2回とも天河というところでキャンプしたのだが、とても不思議なことが起こった。2回とも9月の初めに行ったのだが、2回ともその日にこのキャンプ場を利用したのは僕だけだった。

そこのおじさんが「お客さん運がいいですねぇ、昨日も明日もほとんど予約でいっぱいなんだけど今日に限ってお客さん一人だけですよ。テントサイト自由に使ってもらっていいですよ。」といってくれた。「へぇ、ラッキー」位にしかその時は思わず、三つ分のテントサイトを広々と使って優雅にアウトドアさせてもらったのだった。

さて、不思議はその夜中に起こった。12時か1時位だったと思うのだが、突然近くで犬が遠吠えを始めた。するとそれと呼応するように天河中の犬が(ほんとにそんな感じだった)あちこちで遠吠えを始めた。そんなに沢山の犬達の遠吠えを聞くのなんかもちろん初めてだったし、大体、犬の遠吠えというもの自体聞くのが本当に久しぶりのことでもあり、なんて言うか、ちょっと非現実的な感覚に陥った。

そこには「月に向かって吠えている」といったような雅びな趣などなく、尋常ではない「何か」に対する警戒発令といった感じの「緊迫」したものが含まれていた。「いったい何が起こったんだ」と訝る暇なく、その「何か」はやって来た。

最初、「キーン」というような高周波音が聞こえて来て、それを包むように「ゴー」という低周波音が聞こえて来た。具体的にいうと「とっても巨大な何かが、上空を極めてゆっくりと移動中」といった感じだった。犬達の遠吠えはますます激しく深刻さを増していき、僕といったら恥ずかしい話だが恐怖のあまりテントの外に出られなかった。その「何か」をこの目で確かめてみたいという強い衝動にかられたのだが、それは「飢えた熊がテントの外をうろついている」というのと同じ位リアルな恐怖感を僕に与え続けたのだった。

どれ位時間が経ったのだろう。やがてそれは遠のいていき、犬達も静かになった。

あれは一体なんだったのか?恐る恐るテントから這い出し、空を見上げてみたがそこには雲一つない星空が広がるばかり。「きっと、地形の関係で飛行機かなんかの音がああいう風に聞こえたんだ。何でもなかったんだ。」と自分に言い聞かせてはみたものの、釈然としないものが残った。

翌年、この話をしたら是非行きたいという人がいて、また同じコースを二人で辿ることになった。(この時は呆れる位「不可思議なこと」の連続だったのだが、詳しい話をすると「変な人」と思われるかも知れないので止めときます。)

さて天河に着いた。僕達は昼位に着いたのだが、近くを観光したかったので(天河には弁財天があるし近くには洞河という大峰山への巡礼の人達でにぎわった古い精進落としの街があって、名水も湧いている)まずキャンプ場を確保しようと例のキャンプ場にいった。すると、またおじさん(去年と同じ人だったか解らない)が「お客さん運がいいですねぇ、昨日も明日もほとんど予約でいっぱいなんだけど今日に限ってお客さん達だけですよ。テントサイト自由に使ってもらっていいですよ。」と去年と同じことを言う。「ほんとはこんな山の中にキャンプする人なんかいなくて、見栄張ってんじゃねぇか?」というのが偽らざるところだったのだが、確かにその時はテントサイトにまだいくつかテントが張られてあった。

そして夕方、僕達だけになったキャンプ場で、また三つ分のテントサイトを使って優雅にイタリア料理などを作り、星空を愛でながら食事、そしてログハウス風の天河温泉(前の年は確かなかったはず、こんなとこまで画一的都市化の波がと思ったが、キレイでなかなか良いお湯だった)でロング・ドライヴの疲れを癒し、さて、そろそろ寝ましょうかとテントに潜り込みしばらくたった頃、突然「ビュン」という風が吹いたと思いきや、文字どおり「空の底が抜けたような」大雨が襲ってきた。それはまるで大型で強力な台風の真只中に突然ワープしてしまったとしか言い様のない状況だった。「いったい何が起こったんだ!」なんて悠長なこといってられるような段階ではない。タープもテントも吹き飛ばされそうだし(実際、タープを張っていたロープのほとんどは根こそぎになっていた)何より恐怖なのはすぐ側を流れている川がみるみる増水してきたことだった。これはすぐ避難しなければならないと取るものも取りあえずテントを飛び出したら突然、「嵐」は止んでいた。

文字どおり嘘のように。

それはまるでフルトベングラー指揮のベルリンフィルが、その演奏の佳境でホールから突如消滅してしまったとでもいうような感じで。残響さえ残さずに....完全に。

空は雲一つない満天の星空。夢か?と思ったが夢ではない証拠にタープはほとんど吹き飛ばされていたし、僕達をたぶらかそうと急いで地面にしみこもうとしている大量の水を僕は見のがさなかったし、何より黒グロと増水した川は誰が何と言ってもさっきの「嵐」が夢ではないことを物語っていた。

「一体なんなんだ?」

僕達はもう一度タープを張りなおした。二人とも無言だった。辺り一面、虫達の声。「虫達の声?」だいたいあれだけの強風にさらされてなんでこの虫達は踏み止まれたのだろう。それともここにいた虫達はすべてどこかに吹き飛ばされて、今ここにいる虫達はどこかから飛ばされてきたんだろうか?僕には解らない。

まったく、やれやれという感じの夜であった。

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榎田竜路

Author:榎田竜路
Musician、Glocal Media Producer、真荷舟、Earth Voice Project代表社員、NPO横浜アートプロジェクト理事長、NPO映像情報士協会理事長、北京電影学院客員教授、Rainmaker Project代表、身体感覚技法追求。「野生と感性と知性を一つにして地球の未来に貢献します」

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