ケダモノのすすめ
内なる野性にしたがい日々を生きる男の独り言

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親の気持ち

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僕は親不孝な息子だ。

僕は母からよく「あんたは親の気持ちがわかってない」と言われた。
そういう時の母の眼は本当に悲しそうだった。

「親の気持ち」を初めて味わったのは、長女が産まれた時だった。

「多分、私は間に合わないから、取り上げといてください」という産婆さんの言葉どおり、その子は「おしるし」がきてから4時間も経たないうちに産まれてきた。

その時、その子は胸まで出てきていた。産婆さんはまだ到着しない。
僕はすでに自分が取り上げる覚悟を決めていたので、もう不安はなかった。ただ、人が一人この世に産まれてくるという不思議に、ぴったり一つになっているという感覚だけがあった。

その子は羊膜をかぶったまま出て来た。しばらくそのまま様子を観ていたら産婆さんが到着した。
産婆さんは「分かっている」という風にうなずきながら入って来て、僕の横に静かに座った。

産まれてくる時に驚かせないため部屋は暗くしてある。
しずかに時が移っていった。

「呼吸させちゃいましょうか?」という産婆さんの言葉に分けのわからないまま「はい」と答えた。

羊膜にはさみを入れたとたん、「プルップルッ」と膜がまくれて、顔が見えた。

その子はまるで、自分が生まれた世界を確かめるようにゆっくりと左右に顔をふった。そして「ミャッ、ミャッ」と二声あげた。

そのとたん僕の中に激しい変化が起こった。

「この子はいい子だ」というとてつもない感情が溢れ出し、思わず産婆さんに、「この子いい子ですよね!いい子ですよね!」と夢中で問いかけていた。産婆さんは「ええ、いい子ですよ。とってもいい子ですよ」と答えてくれた。

あとで笑い話になったのだが、これが「親の気持ち」というものなのだということを実感した。何があってもこれは、ずっと続いてくのだ。

母親に電話をして出産の報告をした。興奮状態で「とってもいい子だ」と伝えたら、「どうだ、親の気持ちがわかっただろう?」と言われてしまった。

僕は返す言葉がなかった。

僕の両親がそうであったように、どんな親不孝をされてもきっとこの気持ちは僕の中に流れ続けるのだろう。

僕は一人っ子だったけど、僕には既に三人の子供がいる。
「どうかお手柔らかにお願いします」と自分の事は棚に上げる父なのであった。

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榎田竜路

Author:榎田竜路
Musician、Glocal Media Producer、真荷舟、Earth Voice Project代表社員、NPO横浜アートプロジェクト理事長、NPO映像情報士協会理事長、北京電影学院客員教授、Rainmaker Project代表、身体感覚技法追求。「野生と感性と知性を一つにして地球の未来に貢献します」

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