ケダモノのすすめ
内なる野性にしたがい日々を生きる男の独り言

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アルタードステーツ

変性意識状態という言葉がある。

普段と違う意識状態のことを指すのだが、
それはお酒や薬物の摂取、もしくは身体操作等で訪れる。
酔っぱらった状態もそうだし、ランニングハイや瞑想の時になる精神状態もこれに含まれるだろう。

今日、久しぶりにそれになった。

お酒も薬も飲んでいないし、瞑想やヨガもやっていたわけでもない。
風邪を子供からもらったらしく、夕方から喉が痛みだした。
横になっていたらいつのまにか眠ってしまったらしい。

子供の頃、学校から帰ったあと昼寝をすると時々不思議な状態になった。
1時間か2時間眠ったあと目覚めると時間の感覚が飛んでしまい。
自分が違う宇宙に来てしまったような感覚に襲われる。

寝ぼけているというよりは覚醒していると言った方が正しいのだろう。
ぼーっとしているわけではない。普段は安全弁として意識の周りに張り巡らされている透明な膜がはぎ取られて、感覚が生々しくさらけだされているとでもいうのだろうか。。

その覚醒状態は、まるで虚空に独り浮いているような強力な孤独感を子供の頃の僕にもたらした。泣いてしまいたいのだが、泣いてもどうしょうもないことなのだといいうことが深く分かっているという感じ。これはせつない。

たまらず、食堂の方に行ってみると、母が夕飯の支度をしていたりする。その母の姿も妙によそよそしく感じられ、これは偽物なのではないといぶかしんだりしてしまう。

しかしそんな状態も僕に気づいた母の「もうすぐご飯だよ」という言葉で「元」の状態に引き戻されるのだから家族の力は大きいのだと改めて思う。

今日も半分眠っているような状態の時に隣の部屋にいる子供の声が聞こえて来た。身体は完全に眠っている。でも意識だけは深い井戸から空を見上げると空の部分だけがくっきりと観えるように子供の声だけがはっきりと聞こえる。

そしてその声を聞きながら僕は自分の両親のことを思っていた。
それはとりとめのない断片的なイメージとして僕の心を通りぬけていく。
あんなに強く丈夫だった父も年老いていった。母も髪こそ真っ黒だがやはり老人と言っていい領域で生きている。それもそうだ二人とも昭和一桁生まれなのだ。

僕はどうだろう?父の年まであと30年。
子供達とあとどれくらい一緒にいられるのだろうか?
魂が永遠不滅だとしてもこの世から去らねばならない時がくる。
それはこの宇宙に生まれ落ちた時に定められた運命なのだ。

悲しいのは忘れてしまうことなのだ。忘れられることではない。
 
僕にとって死の恐怖とはこれだ。
これは宇宙の孤独だ。
何ものも癒すことは出来ない。

しかし孤独というのは「力」なのだ。
孤独とは生命力の別名のことなのだ。

ここには無数の生命が溢れ帰っているように観える。
しかしそれは結局、究極たったひとつの生命なのだ。

それは始まりも終わりもないもの。
それを愛と呼ばすに何と呼べばいいのか?

我々は「宇宙の孤独」ゆえにつながっている。
私はあなた、あなたは私。
私は宇宙、宇宙は私。

「天上天下唯我独尊」といいう仏陀のものとされている言葉もキリストの「汝の敵を愛せよ」という言葉も僕にとってリアルな重みを持ってくる。それはとてつもない愛の宣言として僕の前に現前してくる。

そしてそれはあの時の「もうすぐご飯だよ」という母の声に感じたとてつもない安心感と完全に重なるのだ。

あの時の母の声と、今日の子供達の声。
魂の家族達の歌声は僕の中を棒のように貫いている。

森を作る。
愛する人と歌う。
今を全力で駆け抜ける。

いつのまにか変性意識状態で観たものを行動に移すことが出来るようになって来た。だんだんやりたいことが出来るようになって来た。

ありがたい。
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榎田竜路

Author:榎田竜路
Musician、Glocal Media Producer、真荷舟、Earth Voice Project代表社員、NPO横浜アートプロジェクト理事長、NPO映像情報士協会理事長、北京電影学院客員教授、Rainmaker Project代表、身体感覚技法追求。「野生と感性と知性を一つにして地球の未来に貢献します」

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